理事長挨拶

理事長挨拶

理事長 河村 典彦

 連珠ファンの皆様には平素より大変お世話になり、誠に有難うございます。厚く御礼申し上げます。

 2024年度は、2023年度に引き続き、訃報が続きました。当社顧問である澤井敏郎氏が25年1月に、監事である辻和彦氏が25年2月に相次いで亡くなられました。特に辻監事は現役で唯一の監事であったため、その影響は非常に大きく、新たに監事2名を選定しました。当法人も役員の年齢層が高く、若い世代に早く引き継ぐ必要があると考えています。そのためにも、今まで以上に若い世代への普及推進を進めていく予定です。

 2025年から、日本においても五珠交替打ちに開局規定を変更することにしました。五珠交替打ちに変更することにより、名人戦ではよりエキサイティングな対局になると思っています。海外では既に導入され、日本も追随することで、世界戦での活躍も今後期待できます。

 近年、SNSで連珠がどんどん広がっております。連珠は序盤からいきなり終盤になることも多く、一手の重みが高いゲームのため、SNSの特徴である即時性との相性が抜群です。名人戦のネット中継はもはや定番となっていますし、いわゆる『観る珠』の方のご協力も得やすいゲームだと思っています。さらに、桑名七盤勝負を始めとした他のゲームとのコラボも活発で、比較的敷居が低いゲームゆえ、いろんな活動ができると思っております。

 また、スマホでの対戦ができる「五目クエスト」での段級位に応じたリアルの免状が取得できるようにしましたが、これまで多くの方に級位認定、初段位の授与をしております。リアル連珠会に行けないファンの方も五目クエストの成績で公式級位が取得でき、さらには初段免状まで取得できるようになっておりますので、ぜひご利用いただければと願っております。この広がりを日本に、世界に加速させ、文字通り「RENJU」の名前を普及させていきたいと願っております。今後も連珠のファンに「魅せる」活動も活発化していきたいと考えておりますので、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

 日本連珠社は公益社団法人であり、極めて公益性の高い事業を運営しています。しかしながら、日本連珠社の活動はほとんどボランティア的活動であり、資金源は会費収入と寄付収入に頼っている現状です。日本連珠社の運営ができているのは、一人でも多くの方に連珠という日本の文化を知ってもらい、ゲームとして楽しんでもらいたい、そのためには努力を厭わない、ということが大きな動機になっているからです。ぜひ我々の活動にご理解をいただければと願っております。

 これからも、連珠の魅力を出来るだけ多くの方々に伝えていきたいと考えていますので、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2025年6月

副理事長挨拶

副理事長 岡部 寛

 1993年の秋、小学校2年生の頃、地元の練馬公民館での出来事です。

 今も練馬連珠会の会場であるこの紫色の建物は、入口で左に曲がると図書館、右に曲がると公民館という造りになっています。母と私は、左に曲がって図書館へ向かうはずでした。しかし、入口に掲示されていた詰連珠の問題に引っ掛かった母は、私を連れて右に曲がり、連珠会が行われていた教室のドアを叩きました。これが私の連珠との出会いです。私の人生の曲がり角は、家から徒歩7分の地点にありました。

 国際大会でエストニアを7回訪れました。18歳の頃に世界ユース選手権で優勝し、TV出演の機会をいただいた際に司会者から言われた第一声が「老けてますねぇ」で、ゴールデンタイムの全国ネットでオンエアされました。就職活動でも転職活動でも、面接の話題は6割が連珠に関係することでした。最終面接の第一声で、ホワイトボードを使って五目並べのコツを説明するよう求められたことがあり、現在その職場に勤めています。

 現在私は、練馬連珠会の会長も務めています。あの紫色の建物の入口を訪れるたび、母と私が左に曲がった先にある世界線を思い浮かべてしまいます。しかし、人生も連珠と同じで「待った」はできません。連珠に出会ったおかげで数多くの貴重な経験をし、それが私の人生の財産になっていることは間違いありません。

 貴重な経験の中には、辛いものも多くありました。大河ドラマの五目並べシーンの監修を務めた時は、主演女優のマネージャーに「お忙しいですね」と呆れられました。連珠そのもので生計を立てているわけでもありません。それでも30年続いている秘訣は、「仕事のストレスを連珠で発散し、連珠のストレスを仕事で発散する」という発想にあると思っています。

 数多くの貴重な経験と、豊かな人生を私に与えてくれた連珠を、皆様にもお楽しみいただけますと幸いです。

2022年8月23日